外国人の相続手続き
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亡くなった方が日本人で相続人が海外にいるときの相続手続
亡くなった方が日本人であれば、日本の相続法が適用されます。
相続人のうちどなたかが外国に居る場合、
その相続人が日本国籍のままか帰化して外国籍になっているかによって、日本での相続手続き
(不動産の相続登記や銀行口座解約)で必要になる書類は異なります。相続人が帰化して外国籍になっていたとしても、日本人と同様に相続権があり、遺産分割をすることもできます。
<日本の相続手続に必要な書類>
- ◆相続人が日本国籍のまま外国に住んでいる場合
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不動産を取得する名義人になる方が必要になる住所証明書にあたるものは在留証明書になります。
遺産分割協議書への署名押印と印鑑証明書にあたるものはサイン証明書です。
公証人の面前において、本人であることを法定証拠
により示し、宣誓の上、署名したことを証明してもらうものです。 - ◆相続人が外国人と結婚などにより、日本国籍を喪失して外国に住んでいる場合
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住所証明書にあたるものは宣誓供述書になります。
遺産分割協議書への署名押印と印鑑証明書にあたるものはサイン証明書になります。
国籍喪失届をし忘れていて日本の戸籍がそのまま存在してしまっている場合は、帰化証明書
が必要になります。
その他、婚姻証明書/翻訳 が必要になる場合もあります。外国語記載の書類は日本で手続きする際には、日本語翻訳を用意します。
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亡くなった方が日本に帰化した外国人の相続手続き
外国籍から帰化された方が亡くなった場合、通常の日本の相続となります。
日本の相続手続きでは、「亡くなった方の出生から死亡までがつながる戸籍」が必要になります。
帰化した後の戸籍は日本で取得できますが、亡くなった方の出生から帰化前までの戸籍に該当する書類は
日本にはないので、帰化前に国籍をおいていた国から取り寄せなければなりません。
たとえば、戸籍制度があった国(韓国)であれば、韓国除籍を取り寄せ法定相続人が誰なのかを特定します。
戸籍制度のない国の場合は、出生証明書、婚姻証明書、死亡証明書などが必要です。
それにより相続人を特定し、 相続人全員で「私たちは被相続人の相続人であり、私たち以外に相続人はいません」という旨の宣誓供述書を作成し、
当該国の在日領事館や公証人の認証を受けます。 -
亡くなった方が外国籍の方の場合の日本国内の財産の相続手続
亡くなった方が外国籍の方である場合は、日本の相続法が適用されるのか、それとも外国の相続法が適用されるのか、
という「準拠法」の問題があります。日本の準拠法では、「相続は、被相続人の本国法による。」と定められています。
つまり外国人であれば、外国の法律が適用されることになります。
しかし、その本国に常住地(居住地)の法律に準拠する旨の規定があれば、日本に常住(居住)する外国人にも日本の
法律が適用されることになります。各国によって取扱いはそれぞれ異なり、
不動産はその所在国の法律が適用され、動産は本国の法律が適用されると規定している国もあります。たとえば、日本人配偶者等の在留資格をもって日本に居る外国人の方が亡くなった場合、
日本の準拠法により「亡くなった方の本国法による」ので、たとえば韓国人の方であれば韓国の相続法が適用されます。韓国その他外国の相続法は、「相続人の範囲」も「法定相続の割合」も諸外国と日本では異なりますので
手続きが非常に 複雑になります。遺された遺族が複雑な相続手続きで悩むことがないよう、
在日外国人の方・国際結婚をした方・国際結婚をした方が親族にいる方は、
元気なうちに公正証書遺言を作成し外国法
の適用を排除しておくことを、おすすめします。 -
相続登記の手続きの流れ
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(1)相続の発生
(不動産、預貯金、株式、生命保険、年金、自動車の名義変更等の手続きが必要になります) - (2)遺言書の有無の確認 → 遺言書がある場合は、遺言書の検認手続が必要です。
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(3)相続人の確定・調査
(戸籍/宣誓供述書、在留証明、出生証明、婚姻証明書、死亡証明書等の相続書類の収集) - (4)相続財産の調査・確定 → 相続放棄される場合は、相続を知ったときから3か月以内に手続きが必要です。
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(5)遺産分割協議書の作成
(サイン証明/大使館・公証人の認証手続き) - (6)相続登記の申請書作成
- (7)法務局へ相続登記の申請
- (8)相続登記の完了
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(1)相続の発生
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銀行口座解約(相続)の手続きの流れ
- (1)電話・メールでのお問合せ
- (2)事務所にて面談
- (3)お申込み
- (4)相続書類の収集(戸籍/宣誓供述書、在留証明、出生証明、婚姻証明書、死亡証明書等の相続書類の収集)
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(5)相続関係説明図の作成
必要があれば、遺産分割協議書の作成(サイン証明/大使館・公証人の認証手続き) - (6)相続届・遺産分割協議書に相続人全員の方の署名捺印
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(7)ご指定の口座へ送金(解約手続きの終了)
※証券口座の場合、一度相続人の方に証券口座を開設いただき
そちらの口座へ相続資産を移動させた後、解約手続きとなります。